日本酒を造る蔵元のイメージってどんなものを持たれるでしょうか。
職人気質の頑固な人
すでにマーケットを国外に向けているクリエイティブな人
様々なイメージがあると思うのですが、その中でも共通するのは
酒強そう。
じゃありません?
でも絶対そんなこともない蔵元もいるはずなんですよ。てことで今回、本当にお酒に弱い蔵元はいるのか!?調査してきました。
本当にお酒に弱いのか実証
今回お邪魔したのは、1896年(明治29年)創業、125年を迎える熊本県山鹿市にある「千代の園」。4代目が「お酒が弱い」って噂を聞きつけてやってきました!
この笑顔がまぶしい方こそ、今回の主役である4代目代表本田雅晴さん。
「そんな弱いってことはないんですよ。眠たくなる程度で。たまにバス降りそこねて家族に迎えにきてもらったりとかそんなレベルですもん」
もうこれは目に見えたもので実証した方がいいのではないかと思って、実は5代目にアルコールパッチをお願いしたのです。
「さあ社長!これでまず測ってみましょう」
「えー。でも出るかなあ…。本当にそんなに弱くは..」
貼った瞬間もう赤い。
示す値は「非常に弱い」の箇所。
2人でアワワと慌てましたが、説明書をよく読むとこのまま20分間放置し、右の大きな枠に浮かび上がる色でチェックしていくのだとか。
そして20分後..
真っ赤やん!!!見間違えようがない赤!!
もう遠目から見ても赤しかない!!
これには社長も大爆笑。思わず5代目となる娘さんと奥さんにも報告したものの2人揃って
「あら、よかったね。ちゃんと出て」とスルーされる始末。
酒と私。
本田社長の夢は、お酒飲みながら映画を最後まで観ること。
4代目である本田社長が千代の園を継いだのが2000年。
「今年で創業125年でいらっしゃいますよね、その割に代が若いような」
「実は先々代である2代目が早世されたんです。3代目である父親が長く現役であったのでね」
歴史ある山鹿の地に長く根付いている千代の園ですから、意識するしないに関わらず幼少期から周囲にも「4代目」と呼ばれ、自然と自分が継ぐものだと思っていたので特段迷いはなかったのだとか。
「当時、酒屋の息子って農大の醸造科に行くものだって流れがあったんですよ。私もそうすべきなのかなって3代目に相談したところ「行かんでええ。」って言うんです」
応用微生物など学ぶことも大事だけれども、それよりも学生は酒造りとは関係がない世界で見聞を広めるほうが人として豊かになる。そういった教えがあられたようです。
気持ちが豊かになるお手伝いがしたい。
宴会離れに追い打ちをかけて世界中を巻き込んでいる新型コロナの影響で、日本酒の売上も激減しています。
「フランスのワインの輸出量は1兆円~2兆円。対して日本酒は600億円~700億円なんです。悔しいよね~。でも僕はこれを前向きに考えて、よし!日本酒にはまだ伸びしろがある!伸びしろしかない!なんて考えてるんです」
日本国内のみならず、外国での評価も年々あがっている日本酒。
マーケットを国内に絞らず、アメリカなどを視野にいれて展開しているのも、きっと先代が伝えた「見聞を広げろ」に繋がっているんですよね。
そんなグローバルな視点をもつ千代の園。
今年創業125年ということで、限定のお酒を9月末から販売予定です。
販売本数は125年に絡めて125本。1本1本にシリアルナンバーもつけますので、千代の園ファンはもちろんのことコレクターの方にもおすすめですよ。
「お酒って強い弱いんじゃないんですよ。一口飲んだときに、ホッと一息ついて幸せな気分になれるかどうかなんですよね」
柔らかい笑顔のなかでも、静かにでも確かに1本のキリっとスジが通った声で話される本田社長。
それはまるで千代の園のお酒そのもの。そんな印象を強く受けました。
えーくらい編集長。
得意なことはハエ叩きです。