株式会社美少年に美少年はいるのか?調査しに行ったら菊池の小学校にたどり着いた話。

 

「えーくらい」をご覧の皆さまこんにちは。

「お酒はハタチを過ぎてから」

そんな注意文言とは裏腹に、教員以外、ハタチ以下の子しかいない代名詞ともいえる小学校に雨の中きております。

なぜなら「ここに美少年がいる」と聞いたから。

そしてそれを証明するかのようなこの懸垂幕よ。

美少年…。

確実にここだ。

きっと美少年だらけの小学校に違いない。早速中に入ってみましょう。

心はいつでも美少年(恋はいつでも初舞台と同じ言い方)

昇降口入ってすぐに見えるのは、生徒の靴箱ではなく、ひっそりとある杉玉。

株式会社美少年 堺浩司さん

そして前掛けをした美少年。

私が美少年!これ(前掛け)をすれば、いつだって誰だって美少年になれるという神アイテムを身に着けた、心はいつでも美少年!

「とんだ茶番だよ!!」

「あははははははは!!!」

ここまでこんな寸劇にお付き合いいただきありがとうございます。

改めてご紹介。ここは熊本県菊池市にある「株式会社美少年」です。

2013年水源小学校が閉校したのですが、その小学校跡地を有効活用できればと熊本市南区城南から移転をしてきました。

なので蔵というよりも小学校に遊びにきた感強め。

「残念ながら美少年には美少年はいませんが、美少年が言いそうなワードで本日はご案内しますね!」

これは楽しみ。

まずは地元に認められる酒を造りたい

まずはこの株式会社美少年がどのような道筋をたどってきたのかを簡単にご紹介したいと思います。

株式会社美少年が熊本の地でお酒を造り出したのは、宝暦2年(1752年)

「熊本の酒といえば」という位置づけにあった中、2014年5月、日本酒離れと事故米問題で破産宣告をうけ倒産。その後、複数の企業が出資し再起を図りましたが、2019年4月に再度破綻。現在は福岡県の企業が入り、この菊池の地で新たな出発をしているのです。

つまりは現在、3度目のリセット期。

「紆余曲折あったかとは思うのですが、現在強く意識していることってありますか?」

美少年っぽさを全力で演出中

「まずは地元、菊池の方から地元の酒だと認めてもらわなんですよね。他の酒造さんは地元に根付いておられるじゃないですか。地域の中心と言いましょうか。我々は菊池にきてまだ数年。新参者ですからね。まずはしっかりと地元の方に。を強く意識しています」

この菊池の地に蔵を構えて以来、使用している水はすべて菊池のもの。

その覚悟を表すかのようなお酒が青いボトルの「菊池」。

やや甘口で美味しい菊池の恵みを存分に味わえるお酒となっています。

また「學」は、市場には流通させていない商品。

廃校を利用したこの蔵にこなきゃ買えない幻のお酒なんですって。

変化が楽しい

続いて蔵の中を見学させてもらいました。

米を蒸すこの場所は

元 給食の調理場を再利用。

麹を作る「製麹室」は、校長室と保健室をぶち抜いて作りました。

このように学校を再利用して酒造りを行っているので、見学するだけでもとても楽しい。

とても効率的な動線作りを行っているのですが、こだわっているのは「工場化しないこと」

「日本酒の楽しみ方って変化を楽しむのもあると思ってるんです。その年で味が微妙に違うんで。それって手作りのお酒でないと出せない楽しみ方でもあると思ってて」

その想いもあり、動線作りはしているものの、完全機械化はしないんだとか。

「もちろん需要と供給で、量をたくさん求められるという蔵であればそれでもいいと思うんです。ただ私たちの蔵ではそれをしない、というだけの話なだけで」

「ありがたいことにオールドファンの方にも「もっとこうした方がいいんじゃないか」というお声をいただくことがあるんです。それを裏切れません」

歴史があるゆえに、オールドファンの愛が強くなっていくのは必然。

ただ紆余曲折あり、元々のオールドファンが離れていったことも事実。

でもそれを「仕方がない」で終わらせず、なおかつ新たなファンを増やしていくという難しい挑戦を行っている株式会社美少年。

人生においても変化やブレがないように、なんて望んでしまいますが、それを実践している人なんて稀ですよね。

ブレてもいいじゃない、迷ってもいいじゃない。

それが結果「深い味」に繋がるのであれば。

そんなことを教えてくれるような酒造でしたよ。見学ツアーは常時行っているとのことでしたので、ぜひ一度遊びにいってみてはいかがでしょうか。

心はいつでも美少年な堺さんが陽気に案内をしてくれますよ。