昨今「炎を見ると落ち着く」との理由で焚き火がブームとなっておりますが、せっかく澄んだ空気と焚火をセットにするのなら、ここで日本酒も加えたいという欲望が生まれるのも必然。
そこで九州最後の秘境と言われる五家荘で焚火という最高のシチュエーションに、青竹にお酒を注ぎ温める「かっぽ酒」でかっぽりしっぽりと日本酒を楽しもうと思います!
コップがないなら竹に入れればいいじゃない
取材で訪れた五家荘。九州最後の秘境と言われるだけあって集落、ほぼ圏外なんです。
「うおおおお!!!圏外!」と一瞬ショックを受けましたが、逆を言えば、誰から邪魔をされることもなく自然と向き合えるという絶好の環境ということ。
せっかく己と向き合う機会を得たのですから
焚火がしたい。
というか
熱燗自分で作りたい。
そこで宿のご主人にその願望を伝えたところ「ちょっと待ってて」と言われ数分後、唐突に竹筒を渡されました。
ナニコレ。
え?どうしたらいいの?と困惑していたところ
キャンプ用品ではない調理器具をそのまま直火におくと、真っ黒こげになってしまうんだそう。
この竹の中にお酒を入れて焚き火で炙ると、竹は燃えずに中のお酒を温めてくれるんだとか。聞くだけで美味しそうな飲み方。
元は宮崎県高千穂町が発祥の「かっぽ酒」という飲み方らしく、それが五家荘にも伝わり、昔はよくこの飲み方で飲んでいたらしいです。
五家荘は宮崎県との県境なので、隣県の文化も色濃く残っています。
竹はこの数分で切ってきたらしい。謎のスピード感。
お酒と空気を入れる穴を開けてあります。ちょこっと穴を開けただけなので、アルコールも飛びにくいそうです。
新鮮な青竹の香りがたまりません。
焚き火で炙って熱燗に!
まずは竹に開けた穴から、こぼれないようにゆっくりと酒を注ぎ込みます。ポイントは燃えないようにたっぷり入れること。
酒が入っていない部分に直火が当たると燃えてしまうそうなので、これでもかというくらい注いでいきます。
どうせ全部飲んじゃうので容赦なく入れましょう。
竹の大きさにもよるらしいですが、太くて節と節の間隔が長いものだと1升近く入ることあるそうで、適度な竹を探すのが重要です。
今回は簡単にブロックを利用して立て掛けます。薪に火をつけ、直火でゆっくり炙っていきます。
表面はすすが付いたり、時間とともに炭化していきますが、竹そのものが焼け落ちてしまうことはありません。
焚き火の煙に混ざって、竹の先端から湯気が出始めたら飲み頃。
煮えたぎる前に火からおろします。
薪木に使った木材、なんとヒノキなんですよ。めちゃくちゃ贅沢&いい香り。そこに真新しい青竹の香りに混ざって、日本酒の芳醇な香りが広がってきました。
竹の香りがより酒の旨味を引き立てる
そのまま呑むと熱すぎるので、同じく竹で作ったコップに注ぎます。
竹のコップに注ぐ。それだけでも風情を感じますよね。1秒でも早く飲みたい。
ぐぐっと煽ると酒の芳醇な旨味と竹の風味が混ざり合い、今まで経験したことのないような美味しさに変わります。
取材で訪れたのは9月初旬だったのですが、標高が高い五家荘では夕方にはすでに肌寒いほどの気温になっていました。
これからの季節、ますます寒さが厳しくなりますがその分、かっぽ酒が染みわたる絶好のシーズン。
穴が小さいので香りが飛ぶこともなく、熱燗初心者でも上手に作れましたよ!絶対またしよう。
まとめ
山奥でひっそりと楽しめる最高の酒の飲み方でした。
新鮮な青竹はそのままにしておくとカビが生えてしまうそうで、切りたての竹でしかできない贅沢な飲み方。
キャンプなどのアウトドアのついでに秋の夜長の日本酒を味わう贅沢。ぜひ挑戦してみて下さい。
将来の夢はヒモになること。 特技は誤字脱字。朝起きるのが苦手です。