子供のちょっとしたこづかい稼ぎの定番でもあった、ビンの引き取り。ビンを持っていくと1本10円とかもらえた時代が確かにあった。
めちゃくちゃ昭和な習慣だけど、令和の今でも健在なのか?!
ビンの換金制度があった頃
昭和末期、いま絶賛40代の自分がまだ小学生だった時代。
ビンは、お金になった。
足しげく通っていた駄菓子屋では、瓶ジュースが1本80円で売られていた。
しかし、その場で飲んでビンを店に返す場合には、70円で買えたのだ。
飲み終わって空になったビンを店先の水道で軽くすすいで、傍らに置かれたケースに戻す。
それだけで10円安くなる。
父が飲んだお酒の空きビンだって、近所の酒屋に持っていけば1本10円とかで引き取ってくれたものだ。
大きな袋にビンをたくさん入れて持っていき、戻ってきたお金で新しいジュースを1本買って帰る。
平成生まれの若い人は知らないかもしれないが、そんな時代があったのだ。
酒屋さんに聞いてみた
今でもビンを持っていったら、お金に換えてもらえるのだろうか。
あまり聞いたことがない。缶やペットボトルの飲み物が主流になった今、そして家に御用聞きに来てくれる酒屋さんとのお付き合い、なんていうのもほぼ絶滅状態の今、もはや失われてしまった光景なのかもしれない。
酒屋さんに聞いてみよう。
くまモンの升(めっちゃかわいい)を買ったついでに、とある酒屋さんで聞いてみた。
「酒のビンを引き取って換金する制度は今でもあるのか」
ぶしつけな問いに対して、
「一升瓶を引き取る制度そのものは今でもある」
というのがその答えだった。
ただしこれは酒屋さんすべて統一ということではなく、あくまでも酒屋さんの判断。中には消費者に返金等をしていない店舗も存在する。
酒屋さんとメーカー間では
「ある程度まとまった数のビンを回収した分の代金を、次回の仕入れ値から差し引く」という商習慣が現在でも存在している、ということのようだ。
これは一部のメーカーさんと酒屋さんの長いお付き合いによる信頼関係や、一定数をさばき続けるからこそのボリュームディスカウントによるもの。
小学生がふらっと持っていったビンを、どこの店でも快く換金してくれる、という時代ではないようだ。
で、換金はしてもらえないの?
とはいえ、個人でも、ビンを引き取って換金してもらえる場所は今でも存在する。
今回お邪魔した酒屋さんだってそうだ。
大手チェーン系の酒屋では「ビールびん」「茶色の一升瓶」「ジュースびん」など、特定のビンについては1本あたり5円程度の有償で引き取りを行っている店もある。
ただしこれもどこの店でもできる、という訳ではなく、同じチェーンであっても店舗によって取り扱いが異なるのが現状だ。
また通常は回収していない瓶の種類であっても、中には「お前の店で買ったものなのだから」と持参して来られる方も少数派ではあるが存在するのだそう。
通常、お断わりをしているものの、邪見にもできず、店舗が回収して事をおさめることもある、という話もあった。
回収作業と経理処理の手間やビンの保管場所、さらに感染症対策まで必要な今、どこでも手軽にというわけには行かないようだ。
ただ繰り返しになるが、酒屋さんによって買取制度の有無、また金額設定も大きく異なる。
近所の酒屋さんと顔なじみで継続的に買っているなら、さらっと聞いてみるのも手だ。
子供のころの、ビンを返してお金をもらうウキウキ感が恋しくなったら。酒屋でそっと聞いてみよう。
昭和のノスタルジーは、今なお生きているかもしれない。
(完)
えーくらい編集長。
得意なことはハエ叩きです。