とある日、呼び出されたのはご存じ熊本酒造組合。
なんでしょうか。怒られる原因がありすぎて絞り切れません。
「今回はですね、10月22日にある第40回全国きき酒選手権大会の熊本県代表として、出場してもらえればというご相談です」
そんな奇跡あります!?
毎年、屈強な日本酒好きがしのぎを削るこのイベント。
聞くと通常であれば県予選を行い、代表者が全国大会へ出場するのですが今年はコロナ禍の影響もあり、組合からの推薦で決めるのだとか。
「あ。ちなみにあともうお1人お声がけしてまして。熊本県民テレビKKT井上千沙アナウンサー(当時)さん。あの方プライベートでも選手権に出場するほどの日本酒好き」
単独じゃないんかい!!!
まあそれはそうでしょう。というか毎年県代表は2人と決まっているそうなんで、むしろその1人に選ばれたこと自体が名誉ってもんです。
そこで今回、全国きき酒選手権大会がどんな様子なのかをしっかりとお伝えしたいと思います!
日本酒利き酒選手権って世間のイメージとだいぶ違う
皆様、日本酒の利き酒ってどのようなイメージを持たれているでしょうか。
私は
こんな感じで、お酒がずらりと並べられ、クンクンと香りそして色を楽しみ、口に含み風味をかみしめ
「はい!これは○○のお酒です」
って、お酒の銘柄を当てるゲームなんだと思っていました。
しかし、そうではないらしい。
よく分からなかったので、瑞鷹株式会社の吉村さんに教えてもらうことに。
「きき酒は五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)を使って評価・測定する⾏為のことですね」
「五感」
「そう、五感をフル活用。あと、やり方は
①⽬で良く観察し、⾊調、光沢等の外観をチェックする
②きき猪⼝を⿐に近づけ、軽く回して⾹りの特徴や強さをチェックする→上⽴ち⾹
③5ml程度を⼝に含み、すするようにして酒を⾆の上に広げ味をみる。同時に⼝から⿐に抜ける⾹りもチェックする→含み⾹
④⾆の上の味をみる→⽢味・酸味・苦味
⑤⼝当たりをみる→なめらかさ・きめ
⑥吐き出した後の後味をみる→キレ
⑦酒を吐き出し、後味をチェックします。
⑧総合評価の点数、酒質の特徴、⻑所、短所等を記録する
こんな感じですね」
…想像以上に大変!!!
「そう。だから、きき酒終わったあとって本当に疲れるんですよ」
てっきりお酒の銘柄当てゲームなのかと思っていたのでこれは驚き。
「銘柄当てゲームではないですね。ざっくりと言えば、紐づけゲームですね。アルファベットのお酒とイロハニホヘトのお酒を飲んで、どれが同じなのかを当てるんですよ」
こんな感じで7種類のお酒が準備してあるのですが、この中から
どれが大吟醸で、それが低アルコール酒で…といった具合に、マッチングさせていくのが原則ルール。
更にこれだけではなく、好みの順位をつけてややこしい計算式まであるという始末。
…これ無理じゃね?
意味が分からないからチャンピオンに聞いてみよう
筆記試験もあるとのことで、頂いた資料を見て自学も試みたのですがさっぱりと分からない。
しかし
分からなければ分かる人に聞けばいい。
以前熊本県代表として出場し、県大会も全国大会の筆記試験も実技もオール満点をたたき出した、日本酒きき酒の神が熊本に居ると聞いたので、早速アポを取ることとしました。
「かくかくしかじかで、よく分からないのです」
「OKです!自分でよければ講習行きます!」
日本酒きき酒の申し子、神過ぎる羽矢さんを迎え、いざお勉強開始。
「自分なりの解釈にはなりますが、分かりやすい特徴から述べていきますね」
・大吟醸(だいぎんじょう)…香りが強い。華やかなイメージ
・生酒(なまざけ)…加熱処理をしていないので、少し青臭さがある
・純米吟醸酒(じゅんまいぎんじょうしゅ)…とてもシンプル
・純米酒(じゅんまいしゅ)…大吟醸よりも米の味がする
・本醸酒…すっきりとした味わい
・普通酒…糖類が入っていることが多いので、比較的甘い印象
「で、続いて低アルコール酒ですが…」
「ペッてしとる」
ペ
よく分かりませんが、神が言うのだからきっとそうなのでしょう。
今回、はじめてのオンライン開催ともあり、事前にzoomがきちんと動作するようテストを行いとりあえず事前準備はOK!
自宅で自主練開始!!!
組合から練習用キットをそれぞれいただきましたので、あとは訓練あるのみです。
瑞鷹の吉村さんいわくポイントは
• 酒質の特徴、⻑所、短所を⾃分の⾔葉で書く
• 理解し易い部分を優先
• 先⼊観が⼊らないように
なんだそう。
事務所でも色んな人が挑戦しました
「これほんと難しい」
そうなんです。神はちょちょいのちょいとやってのけたんで、簡単そうに見えたんですが見るとするとでは大違い。
味を忘れないように都度特徴をメモするのですが、なんといえばいいのでしょうか。
語彙力がなくなるんですよ。呑み進めるほど、それはもう顕著に。
「好み」「そうでもない」くらいしか出てこず…!!!!
また個人によって分かりにくい種類が異なるとのことでしたが、今回挑戦する永井は純米酒と本醸造酒、この2つで大苦戦。
最初は1個もマッチングできなかったのですが、回数を重ねるごとにコツが分かっていき、最終的に7つ中、4つの正解までこぎつけました。
さあ次はいよいよ本番。
どうなる本番!?
県代表の意地はとおせるのか
次回、こうご期待!!!!!
えーくらい編集長。
得意なことはハエ叩きです。