熊本県内にある酒蔵へふらりと旅してみました。
酒蔵を訪れる楽しみは、お酒を購入するだけじゃなく作り手さんの気持ちや人間性を知れるということで若い女性を中心にジワジワブームがとブームが来ている事でも有名ですね。
今回は、明治35年創業で今年119年の歴史をもつ酒蔵。花の香酒造(旧:神田酒造)へお邪魔しました。社長もいい意味でギャップの塊でしたよ!
外観と内装のギャップよ
伝統の香りを残しつつリフォームされたレトロモダンな酒蔵
中へ入ると、あら素敵。
2階も和モダン!結婚式とかできそう。
2011年に6代目に就任した神田清隆社長は、日本酒の魅力を世界に発信し続けている傍ら若い頃は役者を目指していたんだそうです。
思い立ったら真っ直ぐな性格で、仲代達矢主宰の俳優養成所・無名塾のオーデションで落ち、劇団★新感線の門も叩くも、彼女にフラれ、仕事もなく実家に帰省、しかし実家の酒蔵は借金だらけ倒産寸前だった!というドラマのような人生を歩んでこられた経歴の持ち主。
でもいまだ「夢を追いかけたい!」という目標は健在。
「社長、腕に赤いあざがありますが、お怪我されたんですか?」
「いや、実は昨日、飲んでいて今朝起きてみたら、いろんなところにアザがあって。肋骨にヒビが入っているかもしれませんね。ははは!」
・・・おっさんが酒飲んで肋骨にヒビが入るって、ポンコツじゃないですか!!
花の香の酒造りは「日本酒テロワール思想」と「産土」
テロワールとは、ラテン語で「領地」。土地や風土、地形などの違いにより味や品質に違いを理解する言葉として使われるそうですが、ここざっくりと「土地の個性」という認識でいいでしょう。
蔵の横を流れる菊池川支流の和仁川
神田社長は、フランスのワインの産地をキャンピングカーで旅をしていた時に
「土地の個性で酒の味が変わるのならば、有名な日本酒を真似する事ではなく花の香酒造が独自の日本酒を作る事が出来る」つまり「日本酒テロワール」に気が付いたそうです。
そこから、全ての始まりはこの土地や風土から生まれる=「産土」を中心に酒造りを始められました。
日本酒造りは、伝統工芸品として後世に残す為試行錯誤の途中。といったお話でした。
江戸時代復元作戦
日本酒造りをいずれは伝統工芸品にまで昇華させたい。
その想いと共に神田社長が現在思案中なのが「花の香、江戸時代復元作成」なんです。なにも社長がちょんまげになるとかハード面のコスプレではなく根底は、先祖へのリスペクト。
日本酒テロワール思想を追及、いろんな昔の著作物を読み漁った結果、昔の米を復活させたい!という思いが強くなり、当時すでに無くなっていた肥後米「穂増(ほませ)」を菊池の農家の力で復活させ、現在は自然農法一択で蔵の裏で栽培しています。
昔は豊作を祈願した祭りがあったらしいと聞き早速、挑戦。
祭りの道具、農具を自作する始末。
蔵の裏にある田んぼで穂増を栽培している
ここまでくれば、目標はもちろん「寺子屋」のような日本文化を伝えていく酒蔵にしたい!
という事で、着々とその準備を進めているのだとか。
花の香酒造がある和水町は、菊池川流域に位置し地下水が豊富。今も先祖から受け継いできた井戸水を利用し酒造りをしています。
飲ませていただくと、下に纏わりつくようなトロっとした感じが印象的でした。
その水で稲作された酒米を使用し日本酒を作っているそうです。
ギャラリー内にある井戸。ここから水を引いている
和水町で米作りの10%は酒米を生産してもらっており、全て自然農法にしていきたいと語っていました。
仕込み水と同じ水で酒米を作るこだわり
いざ!酒蔵へ
「木桶蔵」特注なんですって。
麹室は木製でこだわりが感じられます。
仕込み蔵では、赤酒が造られていました。
ビン詰めして、出荷。
そして、江戸時代とは違うのが、ここ研究室。
品質管理にはこだわりを持ち徹底的に分析して、商品開発に努めているそうです。
神田社長お勧めの「花の香 菊花」和水町産米、熊本酵母、生酛造りでつくられた華やかな味わいのお酒です。
フルーティで飲みやすく、ラベルもかわいく手土産にも喜ばれそう。
まとめ
和水町の「気候」「水」「土地」全ての自然に感謝し、微生物や自然災害とも共生し未来に残せる町、酒蔵として「日本酒造り」に取り組んでいました。
神田社長の「先祖から受け継いできた地球は、未来の子どもから預かっている物」
というサン=テグジュペリの言葉が印象的でした。
神田社長、ありがとうございました。きっと「ちょんまげ姿」でもイケメンですよ!
フットワーク軽めです。