美味しい日本酒に必要なのは、酒米と水。
てことは、美味しい米で造れば単純に美味しい日本酒ができるのではないか?
そう思い酒造組合の方に「美味しい酒米が食べたい」とお願いしたところ、「パサパサしている」「美味しくないから食用に向かない」と止められる始末。
何やら普段食べている食用のお米とカテゴリが違うので、比較のしようがないとのこと。
しかし「駄目」と言われると余計に気になるのが人のサガ。今回無理を言って、熊本県のオリジナル酒米「華錦」を分けていただき、美味しくいただけるのか挑戦してみました!
熊本県オリジナル華錦ってなに
全国津々浦々、いろんな酒米が使用されていますが、今回推したいのは2012年に熊本県で品種改良された「華錦」。
山田錦と夢いずみを交配して作られた熊本県のオリジナル酒米で、稲丈が山田錦よりも低いため倒れにくく育てやすい。他の酒米と比較しても、心白が大きくお酒造りに適している銘柄。
つまり日本酒の原料として味はもちろん使い勝手もいいのが「花錦」ということなんです。
※華錦の詳しい情報については以下を参照されてください。
http://www.kumamoto-sake.com/material/
まずは食べてみよう
いつも私たちが美味しくいただいているお米って、弾力そして粘り気があるのが特徴です。大して酒米はパラパラであることが鉄則。
粘り気があると製造途中でお団子のように固まってしまい、麹も上手く造れないことが要因であるためです。
そのためある程度のパラパラ感がないと、お酒造りには不向きなんだとか。
さて今回準備したのは、こちらの3種類。
左が普段食べている食用のお米。
真ん中が「華錦」を玄米の状態で10%削ったもの(90%磨き上げ)
右が「華錦」を玄米状態で45%削ったの(55%磨き上げ)
普通の米は透明ですが、酒米は白い部分が大きいのがわかります。
磨き上げって聞きなれませんが、精米具合をいいます。
55%磨き上げは、お米の約半分まで削ったお米で日本酒になると「吟醸」って名前になり、もっと磨き上げると「大吟醸」という名前になる出世魚のような呼び方に。
日本酒は吟醸や大吟醸がさわやかでフルーティなイメージだから炊飯器で炊いたら華やかでフルーティなはず!と期待して食べてみましょう!
酒米 華錦90%磨き上げ実食
まずは90%磨き上げの華錦を炊飯器にIN。
間違って白米コースじゃなく玄米コースで炊き上げてしまいました。どうなることか…といざ実食!
あれ。
パサパサしていると思いきや、噛み応えがあり普通においしい。
炊きあがりはやや白く食米のような艶もあまりなく、古米を食べている感じ。
味は甘味があるがあっさりしている。
見た目の白さと水分多めであっさりした味。粒に弾力がありそのままで食べても違和感がない。
おにぎりにして知り合いに食べてもらった、喜んで食べたので違いがわからないレベルなんじゃないかと推測されます。
ただ水分が多いのでチャーハンよりおかゆが合いそう。
酒米 華錦55%磨き上げ実食
次はパールタピオカのような55%華錦。
炊きあがりはまぶしいくらいの真っ白!
味は・・・ ん? 味がしない。無味。
水分が多くべちゃとして芯があるような粒感のごはん。
味が薄くあまりしないので、何の味だろう?と食べ進めていくも、よく分からず、あげく満腹になるという愚行をおかしました。
華錦55%をどうしても美味しく食べたい
このまま「華錦55%は食用としてはおすすめできません」で終わらせるのは簡単です。しかし誰にだって1個くらいは良いところあるはず。
そもそも酒米だから食用としてのポテンシャルを押し上げる必要ない。そんな大前提なんてすっかり忘れ、一生懸命アレンジしてみました。
日本酒を少し入れて炊くと甘みが増すと聞いたことがあることを思い出し…
せっかくなので熊本県産米「花錦」100%と熊本酵母で作られた「純米酒 熊本城」を入れてみることに。
ドボドボ・・・入れすぎた。100%日本酒で炊くことに。
炊きあがりはツヤツヤ!もっちりしています。
実食!口に入れた瞬間、奈良漬けのような風味がしてそのあと、苦みが残る。
酒を入れすぎて炊いたので失敗。
失敗続きですが、せっかくならばこれを再度活かしてみましょう。
おせんべいにしてみた
もったいないので、これをおせんべいにしてみました。
電子レンジで作る簡単せんべい。
これはイケる!麺つゆと砂糖が苦みを消して酒風味のせんべいに。
このお米は食材の味がそのまま米に入るのかもしれない。
甘いごはんが合うのかも!?
おはぎにしてみた
粒感を減らすため「半殺し」にしてあんこをのせていきます。
できました。
見た目はおはぎ
味はあんこおにぎり!
粒感がなくならない。お餅のような弾力が無くあんこの味を邪魔しない為、あんこ好きな方はいいかもしれません。
まとめ
酒米を磨き上げると、タンパク質やアミノ酸など旨みとなる部分を削ってしまうため、米の甘味を感じにくいようです。
日本酒造りでは、磨き上げた酒米は磨けば磨くほど(小さくなるほど)タンパク質やアミノ酸が削られ、酒蔵それぞれの味の違いがだせるそうです。
食べるならば「90%磨き上げ」の酒米は、普通の米とあまり変わらない。
味のついた炊き込みごはんやおかゆにすれば問題なく食べられる。
55%磨き上げは、食べるより、日本酒にしたほうが美味しい。
55%までは普通の精米所でも精米できないので、普段食べることはないでしょう。
酒米を食べて感じたことは、
私たちが地元のお酒を飲めば、米農家の需要も増え地産地消に貢献することになるかもしれません。今までお酒を飲んでいて、日本の農業なんて考えた事は全くなかったけど大げさに言えば、県産酒を飲めば、日本の農業を支えることができるかもしれない。
たまには日本酒を買って宅飲みしてみてはどうでしょう?
フットワーク軽めです。